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日本人の白い肌への憧れについて
肌と化粧品
美白文化の現在
「ポリティカル・コレクトネス(英:political correctness 略称ポリコレ)」という言葉をご存じですか。
Wikipediaによると以下のように説明されています。
社会の特定のグループのメンバーに 不快感や不利益を与えないように意図された言語、政策、対策を表す言葉であり、人種・宗教・性別などの違いによる偏見・差別を含まない中立的な表現や用語を用いることを指す。
日本の大手化粧品メーカーの花王は、2021年3月に発売したスキンケア商品から、今後すべてのブランドで「美白」という表現を使用しないと発表しました。
米国で起こった黒人差別への抗議運動(英:Black Lives Matter 略称「BLM」)を受けて、外資メーカーが肌色による優劣を連想させる「ホワイトニング」などの表記を取りやめていましたが、日本国内では初めてこのような動きに配慮したと言われています。
このようなポリティカル・コレクトネスの概念は今後ますます重要になっていくでしょう。
2018年のある調査では、日本女性の約77%が美白ケアに対しての重要度が高いという数字にある通り、日本人の美白意識は根強くあります。
年齢が若ければ若いほどその傾向は強くあるようです。
そもそも、日本人の美白意識はどのように浸透したのでしょうか。
美白文化の歴史
日本人が自分を「美しく魅力的」にみせるための「美」を意識して化粧をするようになったのは、飛鳥時代からと言われています。
この時代、日本は遣隋使を派遣しており、中国大陸との交流によって、仏教の伝来とともに、様々な文化や品物が伝わりました。その中の一つに化粧法や紅、白粉などといった化粧品も輸入されました。
その後、主に都の宮廷女性をはじめとする上流階級の習慣として化粧が広がっていきます。
当時中国大陸から伝わった化粧法は、鉛でつくられた白粉を塗り、ポイントに紅をさすというものでした。
同時に白粉の製法も伝わり、これまでの貝殻や米粉などからできる白粉よりも、格段にツキや伸びがよく、肌を白く美しく見せることができるようになったそうです。
これ以降、庶民にとって、色の白い人=日に焼ける労働をしない高貴な身分の象徴というイメージや、貴重な白粉を使用することができる豊かさの証として、庶民の憧れとともに、美の最大の条件になっていったと言われています。
参考文献
- ポリティカル・コレクトネス – Wikipedia
- 美白ケアへの意識と行動(cosmetic-culture.po-holdings.co.jp)
- 花王、「美白」表現を撤廃 人種の多様性議論に配慮: 日本経済新聞(nikkei.com)
- 化粧の文化史 | 日本化粧品工業連合会(jcia.org)
- 『化粧の日本史 美意識の移りかわり』 著者:山村 博美 出版:吉川弘文館(2016)