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皮脂の必要性を考える
肌と化粧品
皮脂について
皮脂は人の身体の恒常性を保つために備わっている身体機能のひとつです。
皮脂は皮脂腺から分泌され、汗腺から分泌された汗と混じりあって肌表面に油膜をつくります。これが皮脂膜です。
皮脂腺には皮脂腺細胞という細胞があり、その中で皮脂がつくられ、溜められます。肌表面に皮脂が必要になったときにその細胞が自ら破裂することによって外に放出される仕組みとなっています。
皮脂の代用としてのクリームやオイルについて
皮脂腺からしみ出す皮脂は、数時間で酸化して、過酸化脂質に変化し、これが皮膚のDNAや細胞膜を傷つけ炎症を引き起こします。それが繰り返されると組織に慢性的なダメージを与えることになります。
洗顔フォームやクレンジングオイルを使用し過酸化脂質などの汚れをきれいに落とし、その後皮脂の代用としてクリームやオイルを塗布する。というスキンケアは良く聞かれるものです。
先日宇津木龍一先生との対談にて(【肌断食対談】~皮脂は必要?!~ クリニック宇津木流 宇津木龍一先生× 白金ビューティフルエイジングクリニック 山口麻子 – YouTube)、先生が「手鏡で身体の色々なところを擦ってみてください。きっと太ももや腕の内側など、自分の身体で肌がきれいな部分には鏡に皮脂が付きにくいと思います。」とおっしゃっていました。
このように、皮脂腺が少なく毛が少ない部分は、分泌される皮脂の量も少ないため、過酸化脂質によるダメージが少なくなります。そのためキメの細やかな、美しい肌が保たれているのです。反対に、顔や背中などは皮脂腺が多く、ほかの部分に比べてキメが粗い傾向にあり、皮脂分泌が多いため、過酸化脂質によるダメージを受けやすいです。
また皮脂は、汗とともに皮脂膜をつくり、保湿効果がありますが、それは肌の保湿効果全体のおよそ1%と言われています。99%は、理想の肌をつくる角質層の仕組み | 肌ルネ「すっぴんマガジン」 (s-bac.com)でもご説明した、角質層のレンガとモルタル構造と、その材料である、水溶性の保湿因子と、脂溶性の保湿因子をあわせた自家保湿因子の力によるものです。
そのため肌ルネでは、皮脂を洗い流した後に、皮脂の代用となるクリームやオイルを塗布して保湿するということは不要だと考えます。
いかに必要な皮脂だけを残して、過酸化脂質を洗い流し、炎症の原因を減らしていくかが大切です。
シャンプーもそうですが、洗顔料やクレンジングなどの洗浄剤で長年肌表面の皮脂や汚れを落としすぎていると、皮脂腺細胞から皮脂が放出されやすく、必要以上に皮脂が分泌してしまう可能性があります。
また、界面活性剤の影響でレンガとモルタル構造が壊れ、皮脂が出るのにもかかわらず角質がめくれ上がりカサカサとする状態にもなりやすくなります。
洗顔後何もつけずに30~40分ほど過ごしてみると、自然に皮脂が出てきます。太ももや腕の内側のサラサラの肌状態と比較して、皮脂量や肌触りはどんな状態かを確認してみましょう。
参考文献
- 『化粧品に頼らない素肌美人のつくりかた』(著)山口麻子 主婦と生活社 (2015)
- 『「肌」の悩みがすべて消えるたった1つの方法』(著) 宇津木 龍一 青春出版社 (2012)
- ヒトの全細胞 | 200種あると言われるヒトの細胞を解説します。 (human-cell.com)