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春の肌荒れから考える環境問題ー黄砂③

春の肌荒れから考える環境問題ー黄砂③

肌と環境因子

肌と土壌

これまで黄砂は自然現象とされてきましたが、近年はその頻度と被害が拡大しており環境問題として多く取り上げられています。
空を黄色く染めるほどの黄砂は、肌への影響はもちろん、呼吸器疾患を引き起こすほか、農作物への被害や家畜の健康被害にも影響しています。

これらの現状は、世界中の土壌が劣化し、砂漠化しているという問題とも関係しています。

砂漠化の現状

「砂漠化」とは、「乾燥地域、半乾燥地域及び乾燥半湿潤地域における種々の要因(気候の変動及び人間活動を含む。)による土地の劣化」と定義されています。

環境省によると世界の乾燥地帯は陸地の約41%に及びます。
砂漠化の問題は深刻で、この現象により、2015年には世界の食糧生産が2035年までに12%減少すると予測されているほか、砂嵐や黄砂などで砂の侵入や堆積によって、農業生産の減少や水不足が起こり、突発的な洪水や砂塵による健康被害の増加なども懸念されています。

2019年には国連事務総長が、毎年240億トンの肥沃な大地が失われていることを各国に訴えました。

砂漠化の原因

砂漠化は気候的要因と人為的要因があり、特に人為的要因が大きな割合を占めていると言われています。

気候的要因は、大気中の二酸化炭素が増えたことによる地球温暖化や森林の減少、海面温度の上昇などが挙げられます。

人為的要因は、家畜の飼いすぎ、森林伐採、過剰な開墾耕作などが挙げられます。

これらによって植物が少なくなり、風によって土が飛ばされる風食、雨などで土が流される水食が起こります。また不適切な水の管理によって土の表面に塩がたまる塩類化などにより、肥沃な土壌が徐々に劣化していきます。

このような背景として、乾燥地帯に住んでいる人々の貧困や、急激な人口増加、大量生産・大量消費を促す社会的、経済的な問題があることを忘れてはいけません。

ダストボウル

1931年から1939年にかけて、アメリカ中西部の大平原地帯で断続的に大規模な砂嵐が発生しました。空は砂で覆われ、昼間でも夜のように暗くなったそうです。

この現象の原因として言われているのが土壌の劣化です。

作物を安定的に、早く、大規模で育てるために、大量の人口肥料が使用されました。
また家畜の代わりにトラクターが導入され、それによる土壌圧縮によって、土壌の団粒構造が破壊されて、砂化し、風によって空中に舞い上がりました。
土埃によってできた黒い雲は遠く離れたシカゴの空を覆い、土のゴミが雪のように降ったとも言われています。

土壌は本来小さな粒によって数珠繋ぎになっており、そこには隙間があるため、空気が入りふかふかとしたり、そこにミミズなどが住むこと、植物が根を張ること、水が通りそして抜けすやい状態を保つことができます。また家畜の糞尿を肥料として利用していれば、それらが土壌を肥やしてくれますが、化学肥料やトラクターではそれができません。

化学肥料によって過剰に栄養を与えられた植物は、根を張ることをしなくなり、さらにトラクターによって団粒構造が潰れてしまった土壌では、うまく根を張ることができず、また保水することができなくなった土は次第に砂漠化していったのです。

これらの現象は、現在アフリカの開発地帯でも問題となっています。