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無洗顔
診察室徒然日記
皆様は肌断食に関する情報で“無洗顔”や“角質培養”という言葉を聞いたことがありますか?
私たちはここ数年、初診のお問い合わせでこのような言葉を多く聞くようになりました。
ざっと調べてみると、程度は様々ですが、“無洗顔”とはその名の通り、洗顔しない、水で濡らさず全く洗わない。ということ。
また“角質培養”とは、無洗顔などによって、角質を守り育てることで、健康なバリア機能を取り戻す。というものだそうです。
確かに過剰なスキンケアでバリア機能が壊れた敏感な肌への洗顔時の摩擦や、洗浄剤に含まれる界面活性剤などは、さらに肌荒れを引き起こす原因となるかもしれません。
しかし、そのような情報をみてお越しくださる方、またお問い合わせを下さる方のほとんどが、洗顔不足による肌荒れを引き起こしています。
顔に、手指で触れるとポロポロととれる茶色い垢が付いている状態です。
その垢に皮脂などが絡みつき、炎症を引き起こしています。
多くの方が、しっかりと手指で顔に触れて洗顔をすることで、早ければ1か月程度で蓄積された垢が脱落し、炎症もその後徐々に落ち着きます。
こちらの画像は、触らない洗顔の状態から、しっかり触るように洗顔していただいた約一か月後の状態を撮影したものです。
このような方の場合は、角質が自然に剥がれることを待っているのではなく、積極的な洗顔が必要です。
また、私たちが心配なことは、極端に洗わない状態を続けると、アカツキ病を引き起こしかねないということです。
アカツキ病は、通常の日常生活を送ってさえいれば自然に脱落し、洗顔によって清浄化されるはずの物質が、清浄化が妨げられるため、角質が蓄積して小板状(鱗片)になり、それがカサブタのように蓄積された状態です。
アカツキ病は、外傷や皮膚疾患後の症状悪化を恐れて触らなくなったケースや、高齢者の長期入院や認知症などによって入浴や洗浄が不十分だったことなどが原因として報告されています。
アカツキ病で蓄積されたカサブタは、物理的な方法で簡単に除去できるものです。
しかし、極端なダイエットを機に拒食症になってしまうことと同じように、極端なスキンケアを機に、洗顔への恐怖心が一度生まれてしまうと、なかなか今までのように洗顔するようになるには時間がかかることもあるかもしれません。
肌断食という言葉から、我慢のイメージがあり、頑張って何もしない!と決意していらっしゃる方も多いのですが、洗顔はある程度必要ですし、必要な時に、保湿剤やお薬を使用することは、肌を甘やかしていることや“負け”ではありません。
肌断食を修行のように感じている方はぜひ一度、少しだけ肩の力を抜いてみてほしいと思っています。