素肌をすこやかに、化粧品をやめるためのWEBマガジン!
経済成長と素肌の自立
診察室徒然日記
皆様は、1970年代の大手広告代理店戦略十訓をご存じですか。
- もっと使わせろ
- 捨てさせろ
- 無駄遣いさせろ
- 季節を忘れさせろ
- 贈り物をさせろ
- 組み合わせで買わせろ
- きっかけを投じろ
- 流行遅れにさせろ
- 気安く買わせろ
- 混乱を作り出せ
これはこの時代、高度経済成長を果たし、さらなる豊かさを求めて上を目指そうとする日本の姿がよく分かるものです。
また一方で、現代の大量消費社会がどのようにつくり出されてきたのかということを同時に考えさせられます。
私事ですが、私が子どもの頃の思い出の一つに、休日の自転車メンテナンスがあります。兄弟が多かったこともあり、兄弟間でモノを共有することも多く、自転車もそのひとつでした。
チェーンが外れたときなどの簡単な修理は父親がやってくれましたし、定期的に油を差すことや、空気入れなどは幼い頃から各自が行いました。
空気を入れ、全体を拭き上げたあとの自転車は乗り心地がスムーズでとても気持ちが良かったです。
また、パンクをしたときは近所の自転車屋さんへ持っていき、貰った飴を舐めながら、水につけたタイヤのゴムから穴を見つける工程を興味深く見ていたことを、油臭い店内の様子まで、今でもよく覚えています。
ある時自転車のカギをかける部分が壊れ、いつもの自転車屋さんへ修理に行きました。
そうすると「この部分を直すよりも、新品の自転車を買った方が安い」ということを言われ、結局よく考えることもなく、長年乗ったその自転車を手放し、新しい自転車を買ったことがあります。
自転車に限らず、このようなことを皆様も一度は言われたこと、もしくは考えたことがあるのではないでしょうか。
父に言わせるとその自転車はまだ修理して乗れるとのことでしたが、わたしにとっては手間をかけて直したお古の自転車よりも、安いがピカピカの新品自転車が魅力的に見えました。
わたしはその後その自転車がどこでどのように処分されたのかについて、知りません。
どこかの誰かがつくったものを消費し、使えなくなったらどこかへ捨てる。この循環は絶え間なく続いていますが、ごみ処理問題は現代社会を悩ませる事柄のひとつです。
なぜ修理よりも新しいものを購入した方が安いのか、他の手段がなかったのか。手放すにしてもせめてもう少し考えてから手放せばよかったなあ。と今思い返しています。
冒頭の戦略十訓は、様々な解釈ができると思いますが、現代はその頃に比べると、やはり豊かさを当たり前に感じやすくなりました。
ふと見渡してみても私たちの生活は便利な使い捨て商品に溢れています。
しかし、肌をはじめ、わたしたちの身体は使い捨てにできません。
今ないものを求めてもきりがありません。今あるもの、持っているものを大切にしていくためにもファンデーションや化粧品に頼らない自立した素肌をつくっていきましょう。
そのような自立した素肌は、もう一度戦略十訓が謳われる世の中になったとしても、変化する価値観に惑わされないはずです。
人生100年時代です。肌も身体も適切にメンテナンスをしつつ、経年変化を受け入れながら人生をたのしみたいですね。
肌ルネ管理人