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脱毛文化について
肌と環境因子
夏が近づいてくると、電車内広告やテレビコマーシャルは脱毛の宣伝が多くなり“ムダ毛”という価値観が世の中にあることを感じます。
毛深いだけで罪悪感を抱いている方はいらっしゃいませんか?
実は“つるつるぴかぴか”が美しいという価値観は20世紀初頭に頃からつくられたものだそうです。
もしかしたらそのうち、毛深さが美の基準になる世の中が訪れるかもしれません。
昔ヨーロッパでは、ひげを生やしていることがある意味で文明国家のシンボルとしていわれていました。学校でも世界史の教科書でリンカーンなどの髭もじゃの人物を多く習いました。
一方でネイティブアメリカンの文化では顎鬚などは煩わしいもので、不名誉な副産物として認識されていました。少しでも毛が生えると抜いたり焼いたりし、今でもその時代の毛抜き道具が残されているそうです。
それを見た他の民族は彼らを野蛮と揶揄していましたが、その後20世紀初頭にサービス産業が盛んになり、人前でつやつやした肌を見せるために、ひげが生えていることや体毛は人に不快を与えてしまうという価値観が生まれました。
そして、そのながれのなかで第一次世界大戦がはじまります。
多くの男性兵士は塹壕を掘り戦いますが、そこには微生物やねずみなどの病原菌を運ぶ生物動物がたくさんいました。そのため、塹壕を掘ったり、そこにいるだけで髭にチフス菌などが付着し、感染したり、シラミが沸いてしまうことがありました。また、ガスマスクの着用の邪魔になることも懸念されていました。
そこで、アメリカの剃刀ブランドであるジレットによって、携帯用安全カミソリが軍に提供され、男性に剃毛の習慣がついたそうです。
生き残った兵士たちは髭を剃った状態で帰宅し、洗面台に置かれた安全カミソリを見た家族が「これは何?」と聞きます。そんなことから女性たちにも剃毛の価値観が根付いていったと言われているのだそうです。
現在は、将来介護の時に備えるための脱毛需要が増えているということです。
厚生労働省によると2000年から2018年を比較し、要介護人口は3倍にまで増えています。
このことも需要増加の原因なのかもしれません。
脱毛レーザーによる毛嚢炎などの症状もよく伺いますので、自分にとっての価値観をよく見極めてお手入れをしていきたいです。
参考文献
- 分解の哲学 (著)藤原辰史 青土社 2019
- 脱毛の歴史 (著)レベッカ・M・ハージグ 東京堂出版 2019
- 公的介護保険制度の現状と今後の役割 厚生労働省 老健局 0000213177.pdf (mhlw.go.jp)