SUPPIN MAGAZINE(すっぴんマガジン)素肌をすこやかに、化粧品をやめるためのWEBマガジン!

顔ダニと人との共生⁈

顔ダニと人との共生⁈

肌と環境因子

肌と寄生虫

顔ダニが絶滅回避のため、人間の一部になり人間と共生していくための進化中という記事を読みました。(2022.9.4日本経済新聞より)

顔ダニはニキビダニなどとも呼ばれ、人間の眉毛やまつ毛などの毛穴を住処にしています。体長はおよそ0.3㎜程度で、ひとつの毛穴には5~6匹おり、人間の皮脂や分泌物をエサとし、約2週間の寿命の大半を食事に費やします。

この顔ダニは赤ちゃん以外のほとんどの人間から見つかっており、健康な皮膚の方からでもほぼ100%寄生されています。肌の状態や体調の変化などによって悪く働くと、炎症やニキビなどの原因となる場合があります。

今回イギリスレンディング大学のアレハンドラ・ペロッティ博士率いる研究チームが、世界初のゲノム解読を実施し、その遺伝的特性が分かってきたそうです。

顔ダニのゲノムは、他の近しい種と比べ最も少なく、必要最低限のものしか持たず、生き抜くための重要な遺伝子は持っていません。

例えば、ほとんどの生物が持っているメラトニンというホルモンも、自ら作ることができません。
顔ダニのような小型の無脊椎動物では、メラトニンを分泌することで運動や生殖を誘発するはたらきがあります。そのため顔ダニが人間の寝ている間に活動をするためには、メラトニンが不可欠です。しかし、彼らは自ら作らない代わりに、ヒトの皮膚からメラトニンが分泌されてきたらそれを拝借し、しのいでいるのだそうです!

このような原因のひとつに、ヒトの顔では、外敵やライバルはおらず、種として孤立状態にあるため、使わなくなった機能を切り捨てたことがあります。

夜しか活動をしないため、紫外線から身を守るための遺伝子や、日中に生物を覚醒させるための遺伝子は必要ありません。

ペロッティ博士率いる研究チームによると、このように人間に頼り過ぎ、種の遺伝的多様性を拡大し進化していくチャンスを失う事は、このまま絶滅へ向かっているということを示し、そのため今後はダニとして人間に寄生するのではなく、人間の一部として共生し、ともに進化を遂げていくのだそうです!

しかし、顔ダニは健康であれば全く害のない生物です。
皮脂や角質などをエサにしているため、むしろ肌のバランスを保ってくれているとも考えられます。
顔ダニ撲滅のため、洗顔をしっかりとするように意識したくなりますが、顔を洗うくらいではダニはいなくなりません。
一生懸命に顔を洗いすぎることで、皮膚の皮脂や常在菌のバランスが乱れ、逆に炎症を引き起こす場合もあります。
また、逆にスキンケア化粧品やメイクアップ化粧品などの油分が原因で、顔ダニのエサを増やしてしまうこともあるかもしれません。

共生とは、異なる複数の種の生物が、緊密な結びつきを保ちながら一緒に生活することという意味の言葉です。お互いが一緒にいても問題がない状態を共存というのであれば、共生はお互い、あるいは一方(ダニの場合は人間)がいないと生きていけない状態で、まさに運命共同体です。
インターネットで顔ダニの画像をみましたが、こころが未熟な私にはどうしても、どうか絶滅しないで!という気持ちにはなれそうにありません。しかし何でもそうですが、バランスを取りながらお互いできれば長く健康に生きていたいものです。

参考

  • 2022年9月4日 日本経済新聞