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なにもないこと、素肌でいること
診察室徒然日記
先日、東京都美術館で開催中の岡本太郎の特別展に行ってきました。
没後開催された回顧展のなかで最大規模といえるスケールの大回顧展だそうで、彼のたくさんの作品と言葉のエネルギーにとにかく圧倒され、胸がいっぱいになり帰宅しました。
岡本太郎が書いた『沖縄文化論』の中に、「なにもないこと」の眩暈というお話があります。
沖縄を訪問した岡本太郎は各地に残る沖縄独自の文化に触れ、人々の何も飾らない、なにもない、ただそこに生活をしているぎりぎりの美しさを見て感動を覚えたそうです。
沖縄の様々な祭祀が執り行われる場所である御嶽(うたき)を見たときの感動を、彼は以下のように表現しています。
私を最も感動させたものは、意外にも、まったく何の実体も持っていない-といって差し支えない、御嶽(うたき)だった。御嶽-つまり神の降る聖所である。この神聖な地域は、礼拝所も建っていなければ、神体も偶像も何もない。森の中のちょっとした、何でもない空き地。そこに、うっかりすると見過ごしてしまう粗末な小さな四角の切石が置いてあるだけ。その何もないということの素晴らしさに私は驚嘆した。これは私にとって大きな発見であり、問題であった。
(『沖縄文化論』著 岡本太郎 中央公論新社 1996)
わたしは何度読んでも、この飾らない美しさを発見するところにぐっときてしまいます。
当院のコンセプトはファンデーションに頼らない素肌づくりです。生活する上でのぎりぎりの美しさではないにせよ、素肌でいるということは何よりシンプルで内面の強さと美しさを感じます。
また、シンプルというのは、そのままはもちろん、華やかな装飾を施してもよく映えます。当院の患者様にも特別な日のメイクがとてもきれいな方がたくさんいらっしゃいます。
ただなにもない空間に神を感じることのできる日本人ですから、すでに持っている自分の中の普遍的な美しさに気付き、飾らず、驕らず、本当に必要なものを選択することができる。そんな人になるべく、日々素敵な患者様方に刺激を受ける毎日を過ごしています。
肌ルネでも、皆様それぞれの本来持っている美しさを引き出すお手伝いをお任せいただけましたら幸いです。
肌ルネ管理人