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界面活性剤概論

界面活性剤概論

肌と化粧品

界面活性剤

界面活性剤とは

界面活性剤の「界面」とは、「異なった性質を持つ2つの物質の間に存在する境界面」を意味する技術用語です。
世の中には、種類や性質の異なった物質が無数に存在しています。
物質を外観の違いから区別すると、固体、液体、気体の大きく3つに区別することができます。これらの外観の違うもの同士が、隣り合って存在する場合に「界面」ができます。
そしてその「界面」には以下の5つのパターンがあります。

  1. 固体と固体
    例:携帯電話と指、衣類と付着した汚れ
  2. 固体と液体
    例:コップとコーヒー、機械と潤滑油
  3. 固体と気体
    例:皮膚と空気、地球と大気
  4. 液体と液体
    例:水と油
  5. 液体と気体
    例:海と大気、シャボン玉

このように私たちは無数の「界面」に囲まれて生活をしています。

界面活性剤の「活性剤」も、技術用語で「機能を発揮する薬剤のこと」を意味します。
つまり界面活性剤は、界面において機能を発揮して性能を高める化学物質の総称です。

界面活性剤の働き

界面活性剤の働きの一部をご紹介します。

  • 乳化、分散
    水と油は合わせるとすぐに水は下に、油は上に分離しますが、界面活性剤を少量加えてかき混ぜると、簡単に混ざり合い、安定した乳化液を作ることができます。また、ススのような粉状の個体を水に入れた場合も混ざり合わずに表面に浮かんでしまいますが、界面活性剤を加えると、ススの粒子が界面活性剤の分子に取り囲まれて、細やかな粒子になり、水中に散らばります。洗濯物から汚れを水中に引き出すのもこの作用によるものです。
  • 湿潤、浸透
    水に濡れにくいウールなどの繊維を水の中に入れても、繊維のなかに水がなかなか染みこみません。しかし界面活性剤を少し混ぜた水は、界面張力が弱まり、繊維の表面と界面活性剤溶液が馴染みやすくなるため、繊維の中まで水が浸透します。
  • 起泡、消泡
    界面活性剤は水の中に気泡を取り込んで、壊れないように安定させる働きがあり、界面活性剤を溶かした水は泡が立ちやすくなります。また、反対に、泡を立ちにくくすることもできます。
  • 洗浄
    脂や汗は布に染みこむとなかなか落ちませんが、界面活性剤を用いると布と汚れのそれぞれの表面を塗らし、布と汚れの間にまで浸みこんで汚れをはがし、さらに汚れを乳化、分散させて取り除きます。
  • 柔軟、平滑
    物の表面に吸着してその表面の滑りを良くする性質です。
    例えば、糸に撚りをかけたり編んだりする工程で滑りを良くし、良い糸や布を作ります。布地が柔らかく肌触りが良いのも界面活性剤が働いているからです。

界面活性剤は種類も多く、性質もお互いに異なっています。
これらの界面活性剤をうまく組み合わせ使いこなすといろいろな働き(作用)をすることができるようになり、その働き(機能)により、「〇〇剤」と呼ばれています。産業界では、「困ったことがあればまず界面活性剤にきいてみよ」と言われるほど、界面活性剤は日常の様々な場所で活躍している化学物質です。

参考文献

  • 日本界面活性剤工業会ホームページ