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界面活性剤ー石けん①
肌と化粧品
人類初の界面活性剤は石けん
石けんは、紀元前3000年頃にできた人類初の界面活性剤と言われています。
古代ローマ時代の初めごろ、サポー(Sapo)という丘の神殿で羊を焼いて神に供える風習がありました。この羊を火であぶっているとき、したたり落ちた脂肪が木の灰に混ざって石けんのようなものができました。
その石けんがしみ込んだ土は、汚れを落とす不思議な土として珍重されました。
石けんは油脂をアルカリ剤で煮るとできますが、この場合は熱々の木灰が脂を煮るアルカリ剤の役目を果たしたわけです。英語で石けんを意味するソープ(soap)は、この丘の名前から取ったといわれています。
サポーの神殿で石けんが偶然できていた紀元前3000年代、メソポタミア(現在のイラク)でも石けんが作られていました。シュメール人が羊毛の洗浄と石けんの製法について粘土板にくさび形文字で記しています。
作り方は木灰にいろいろな油を混ぜて煮たというもので、塗り薬や織布の漂白洗浄に使われていたそうです。
日本には16世紀の安土桃山時代に伝えられ、明治初期に工業的に石けんが作られるようになりました。その後、徐々に石油を原料とした合成洗剤がつくられるようになります。
石けんと合成界面活性剤
界面活性剤には、様々な用途がありますが、洗浄剤としては大きく2種類に分別されます。
そのひとつが石けんと、もう一つが合成洗剤です。
洗浄剤という意味では同じですが、原料・製法・成分が異なります。
合成洗剤の歴史
第一次世界大戦中、ドイツは石けんの原料である油脂が欠乏し、石けん製造ができなくなりました。そこで開発されたのが、石油を原料とした合成洗剤です。
日本では、1937年(昭和12年)に、ウール用中性洗剤として初めて市販されています。その後、第二次世界大戦後にアメリカの石油資本の生産増大、電気洗濯機の普及、アメリカ及びヨーロッパの硬水地区における石けんの欠点(石けんカスの問題)などもあり、急速に合成洗剤が洗浄剤の主流に代わっていきました。
アメリカでは1952年、日本では1963年に、合成洗剤の使用量が石けんの使用量を上回りました。合成洗剤の日本での本格的な歴史は約60年と、まだ短いものです。
一方この60年で様々な環境問題や健康被害が取りざたされるようになりました。
参考文献