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代表的な常在菌②
肌と環境因子
私たちの皮膚にはたくさんの常在菌が存在します。
それらはすべて絶妙なバランスをつくり、私たちの肌を守っています。
前回は善玉菌である表皮ブドウ球菌と日和見菌であるアクネ桿菌についてお伝えしました(https://www.s-bac.com/hadarune/magazine/healthy/1691/)。
今回は黄色ブドウ球菌をはじめとする悪玉菌についてお伝えいたします。
黄色ブドウ球菌
黄色ブドウ球菌は表皮ブドウ球菌と同じく皮膚表面や鼻腔に存在します。
健常な成人では鼻腔に20~40%保菌しており、そのままでは通常無症状ですが、多くの毒素を産生し、36菌種あると言われているブドウ球菌の中で最も病原性が高いと言われています。
鼻腔から手指を介して食品を汚染し、食中毒の原因となるほか、傷などから体内に侵入した場合に増殖し、炎症を引き起こします。
アトピー性皮膚炎の方では湿潤部位から100%検出されると言われています。
基礎疾患を持つなど免疫力の低下した方では、肺炎、敗血症、呼吸器感染などの重篤な感染症を引き起こすこともあります。
マラセチア
マラセチアは真菌の一種で人の皮膚に最も常在している真菌と言われています。
脂質を好み頭皮や顔、背中などに多く存在し、毛嚢炎や脂漏性皮膚炎、アトピー性皮膚炎などの原因菌としても知られています。
汗をかき、皮脂が出やすい時期や場所は特に増殖しやすく、アレルギー物質であるヒスタミンを産出することから、痒みを引き起こします。
洗いすぎ、洗わなすぎは禁物
皮膚常在菌とうまく付き合うためには洗いすぎず、洗わなすぎず、適切に洗顔することがとても大切です。
クレンジングやピーリングなどの洗浄剤で角質を落とし過ぎてしまうと、皮膚表面に存在する善玉菌である表皮ブドウ球菌も減ってしまいます。
表皮ブドウ球菌や皮脂膜などの肌のバリア機能は弱酸性を保っていますが、洗いすぎてその状態が崩れると、アルカリ性を好む黄色ブドウ球菌などの繁殖を許し、炎症を引き起こすのです。
また洗わなすぎると、汗や皮脂を皮膚表面に残すと、それをエサとするマラセチアなどを増殖させる原因となります。
皮膚のバリア機能が壊れている時の適切な洗顔の加減はとても難しいのですが、洗顔を適切に行うことは安定した肌をつくるための近道です。肌を観察しながら適切な加減を見極めてみてください。