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光老化と紫外線1
肌と環境因子
光老化とは
紫外線をはじめとする太陽光線を顔や手の甲に適度に浴びることで、1日に必要なビタミンDが皮膚で生成されて健康維持に役立ちます。
しかし、太陽光線を長時間、無防備に浴びると肌の光老化が起こります。
光老化は、年齢を重ねて生じる自然(生理的)老化とは異なるもので、肌の色がくすみ、張りがなくなり、しみ、シワ、たるみとして現れ、さらには皮膚がんとして生じることもあります。
太陽光線は、紫外線、可視光線、赤外線の3つに分かれます。
このうち、光老化に最も大きな影響を与えているのが紫外線です。
紫外線の種類
紫外線は、波長の長いほうからA・B・C と大別されています。
- UV-A(315nm~400nm)
- UV-B(280nm~315nm)
- UV-C(200nm~280nm)※地上までは届きません
UV-Aの肌への影響
UV-Aは、生活紫外線とも呼ばれ、地表に届く紫外線のおよそ9割を占めています。
波長が長く、表皮を通り抜け真皮まで届くほか、雲やガラスをも透過してしまいます。
そして、UV-Aはメラノサイトを活性化させ、メラニンを黒く変色させます(サンタン)。
真皮には、お肌の弾力を保つコラーゲンや、ハリを保つエラスチンなどがあります。
UV-Aはそれらを壊してしまう酵素を増やし、コラーゲン繊維を切断、エラスチンを変形させてしまいます。
この結果、弾力を失った皮膚はたるみ、傷ついた繊維がシワとして形成されてしまいます。
また、日焼けサロンの日焼けマシンはUV-Aを照射しています。
36歳以前に日焼けサロンに通っていた人は、その後のメラノーマ発生の確立が高くなることから、世界保健機関(WHO)の国際がん研究機関(IARC)は、2009年に日焼けマシンの使用を発がんリスク分類で最高レベルに引き上げました。
さらに日焼けマシンはメラノーマだけでなく、もっとも一般的な皮膚がんである「非黒色腫皮膚がん」のリスクも高めるおそれがあるという調査結果もあります。
6ヵ国の約8万人のデータを解析したところ、日焼けマシンを使って肌を焼いている被験者は、屋内で肌を焼かなかった被験者と比較して扁平上皮がんのリスクは67%高く、基底細胞がんのリスクは29%高いことが確認されています。
(カリフォルニア大学サンフランシスコ校の研究チームが発表)
日焼けサロンは、すでにブラジルが全面商用禁止に踏み切っているほか、米国の約30州と欧州のイギリス、フランス、スペインなど11カ国が禁止もしくは年齢制限を導入しており、規制が世界的な潮流となりつつあります。
UV-Bの肌への影響
UV-Bは、レジャー紫外線とも呼ばれ、浴びることで肌表面に急激な炎症反応が起こります。
紫外線量の1割程度しかないUV-Bですが、肌表面に対する影響力はとても強く、海水浴などで強い紫外線を浴びた後に、真っ赤になってひりひりしている状態(サンバーン)はUV-Bによるものです。
また、表皮の一番奥には、メラノサイトにシグナルを送る細胞があります。
その細胞が紫外線を浴びると、細胞やDNAを守るためそのシグナルが送られ、メラニンの生成を活性化させ、しみの原因となります。
UV-Bを浴び続けることで、細胞やDNAの損傷、修復が繰り返されると、皮膚がんのリスクも高まると言われています。
参考文献
- 公益社団法人日本皮膚科学会
- 国土交通省気象庁ホームページ
- 「光老化」啓発プロジェクト委員会
- 日本生活習慣病予防協会