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大気汚染が与える肌への影響について①
肌と環境因子
私たちの生活空間には、様々な大気汚染物質が浮遊しています。
最近では、天気予報などでも黄砂の予測飛来情報が伝えられるなど、大気汚染への関心が高まっています。
PM2.5などの非常に小さな大気汚染物質は、肺の奥まで入りやすいため、呼吸器系や循環器系への影響が懸念されています。
身体への影響はもちろんですが、これらがアレルゲンとなり、肌にも悪影響を与えており、とくに敏感な肌の方にとっては、肌トラブルの大きなリスク要因となります。
大気汚染の皮膚への影響
環境保健学、公衆衛生が専門の内山巌雄京都大学名誉教授によると、大気汚染物質の粒子の中に水や油に溶けやすい成分のものがあることから、大気汚染物質が皮膚から出た汗や皮脂に溶け込んだり付着したりするとのことです。
健康な皮膚でも大気汚染物質にさらされ続けると、皮膚内部の活性酸素(フリーラジカル)が過剰に発生します。
活性酸素は本来、外部刺激から体内細胞を守ってくれる役割がありますが、その防衛力が強すぎるため、増えすぎると肌細胞の酸化を引き起こし、細胞やDNAを傷つけてしまいます。
活性酸素は細胞膜に含まれる不飽和脂肪酸と結びついて酸化させ、過酸化脂質という有害な物質を作りだします。
過酸化脂質は細胞内部に浸透する性質があり、体内にとどまる時間も長いため体に害を与えやすく、細胞や組織を破壊し、老化色素であるリポフスチンを作り、細胞の動きを止めてしまうと言われています。
結果として、メラニン色素を誘発させてシミの原因となったり、皮脂の酸化による刺激でニキビの炎症を招いて悪化させたり、真皮層にあるコラーゲンやエラスチンを破壊し、シワ、たるみ、皮膚の老化を促進します。
ロート製薬の研究
2017年にロート製薬株式会社が発表した研究結果(_prw_PR1fl_44rg246p.pdf)では、研究対象にした自動車排気ガス、都市大気粉塵(PM2.5等を含む)、ゴビ黄砂、スギ花粉の4種すべてが皮膚の炎症を誘導することが明らかになりました。
また、自動車排気ガスと都市大気粉塵が皮膚の酸化ストレス性の炎症を誘導し、さらに皮膚のバリア機能にかかわる遺伝子の発現を低下させると示されました。
バリア機能の低下により、しわやシミ、外部刺激に敏感な肌へとつながる要因になることが分かっています。
加えてゴビ黄砂とスギ花粉は、かゆみやアトピー性皮膚炎の原因となる因子の発現を上昇させ、かゆみやアトピー性皮膚炎の増悪因子となりうることが示されています。
次回は私たちができる大気汚染への対策について詳しく紹介します。