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皮膚からもエストロゲンが出ている?!
肌と女性のライフステージ
エストロゲンは主に卵巣から分泌されるホルモンで、思春期には女性らしいからだを作り、月経を起こし、妊娠や授乳が可能な状態にする役割を担っています。
特に女性はその一生を通して、こころやからだはもちろん、肌においてもエストロゲンに大きく影響を受けています。
様々なエストロゲンがある
実はエストロゲンとは一つの物質ではありません。
体内で作られるエストロゲンとして最も作用が強力なのはエストラジオールという物質で、それと似た作用をもつ物質を総称してエストロゲンと言われており、ヒトの体内には多数存在します。
ヒトの体内にある他にも、それぞれの動物にはその種特有のエストロゲンがあり、例えば日常でもよく聞く「イソフラボン」のような、大豆などの植物にもさまざまなエストロゲンがあると言われています。
代表的なエストロゲンと皮膚の関係
エストロゲンは皮膚のコラーゲン産生を助け、肌のハリを保つはたらきがあり、美肌には欠かせないと言われていますが、その中でも最も作用が強力なものがエストラジオールという物質です。
このエストロゲンが、卵巣からだけでなく、皮膚細胞が独自に産生しているという研究結果があります。
現時点ではマウスでの実験のようですが、皮膚自身がエストロゲンを利用して皮膚の健康的なうるおいなどの制御を行っているということです。
この研究では、卵巣の約1/10のエストラジオールが顔の皮膚の女性ホルモン受容体に発現していることが分かり、これは身体の他部位の受容体の発現量に比べてとても高いことから、十分にエストロゲンとしての生理作用を発揮していると考えられるそうです。
エストロゲンも適度には必要ですが、あまりに多すぎても肌荒れを引き起こしたり、癌のリスクが増えたり、バランスを崩すと肝斑が悪化したりと、トラブルの原因にもなり得ます。
しかしこのように私たちの身体は様々な細胞などが複雑に機能しあいながら、ちょうど良く保ってくれている仕組みがあるのだと知ると、やはり化粧品はそれほどいらないのではないかと考えてしまいます。
皮膚細胞のように自分自身の精妙な変化にいかに気が付くことができるかどうかが重要なのかもしれません。
参考文献
- 『エストロゲンと女性のヘルスケア』(著)武谷 雄二 株式会社メジカルビュー社 2015
- 『皮膚細胞は独自に女性ホルモンを合成し、 それが皮膚細胞の活動を制御している』 東京大学大学院総合文化研究科 川戸 佳 Cosmetology Vol23 2015 p71-77 Kawato_S.pdf (kose-cosmetology.or.jp)