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ファイトニュートリエント 概論

ファイトニュートリエント 概論

肌と栄養

健康と美の応援栄養素 ファイトニュートリエント

ファイトニュートリエントとは

「ファイト(Phyto)=植物、ニュートリエント(Nutrient)=栄養素」と記述される、天然の化学成分です。自ら動くことができない植物が、害虫や紫外線から身を守るために生成する物質です。植物や果物にもたらされる色素や香り、辛み、アクなどの成分はファイトニュートリエントによるものです。人間の体内で作ることが出来ず、食事から自然の恵みを得ています。

ファイトニュートリエントは、ビタミンやミネラルのように厚生労働省の基準で定められている必須栄養素ではありません。しかし、健康維持や美容にさまざまな効果をもたらす栄養素であることが解明されてきました。

例えば抗酸化力によって活性酸素から身体や肌を守り、抗加齢の働きが期待できます。また、肝臓の解毒を助けるデトックス効果、がんのリスクを減らすほか、アレルギー症状の緩和、血流、血圧、血行、血液の状態などを良好にする効果があると考えられています。

ファイトニュートリエントの種類

ファイトニュートリエントは大きく3つの群に分類されます。

  • カロテノイド群:
    緑黄色野菜などに含まれ、抗酸化作用がある。
  • ポリフェノール・フラボノイド群:
    植物の光合成の際に生まれ、高血圧や動脈硬化などの血流に関わる病気の予防作用がある。
  • イオウ化合物群:
    玉ねぎなどの辛み成分の総称。強い抗酸化能力をもち、血液をサラサラにすることで抗血栓作用が期待できる。

カラフルな食卓が健康と美容に◎

ファイトニュートリエントは、何千~何万あるといわれ、ひとつの食物中にも数十から数百種が存在しています。色による分類を参考にすると、日常生活で分かりやすい指針となります。

  • オレンジ・黄色の食物:柑橘類・人参など
    「フラボノイド」「カロテン」を多く含み、心臓血管系のトラブル予防に効果が期待できます。
  • 緑色の食物:ほうれん草・ブロッコリーなど
    カロテノイドの一種「ルテイン」が含まれます。ルテインは眼・肌・乳房・子宮頚部に存在し、各細胞を健康に保つのに寄与していることがわかっています。また乳癌発症リスクについて防御的な作用をするのではないかと研究されています。
  • 赤色の食物:イチゴ・トマトなど
    カロテノイドの一種「リコピン」が含まれ、心臓血管や肺疾患に効果的とされています。
  • 紫色の食物:ベリー系・ぶどう・アサイーなど
    フラボノイドの一種「アントシアニン」が含まれ抗酸化作用が期待されています。
  • 黒色の食物:緑茶・カカオマス
    フラボノイドの一種「カテキン」が含まれ抗酸化作用が期待されています。

ファイトニュートリエントは、加熱によって破壊されません。しかし、ファイトニュートリエントと同様に野菜・果物から摂りたいビタミンC、B群などの水溶性ビタミンは光、水、熱、空気に弱い性質ため調理方法には注意が必要です。

国が推進する健康づくり運動「健康日本21」で、成人の1日当たりの野菜摂取量の目標値が「350g」に対し、実際には平均272.8g(平成25年国民健康・栄養調査結果による)しか摂取できていません。
また、野菜・果物自体の栄養素が減少しているデータもあります。1食ごとに全ての栄養素を摂れるのが理想ですが、まずは1日に摂った野菜・果物の色でレインボーを描けるか意識してみましょう。

参考資料