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ケガと傷跡の処置

ケガと傷跡の処置

妊婦と子供のスキンケア

幼児期
学童期

12歳以下の子供のケガの約7割が家庭内で起きています。(※独立行政法人 国民生活センター「医療機関からみた家庭内事故 平成25年度」

事故発生場所(12歳以下)

  • 住宅 67.4%
  • 一般道路 8.8%
  • 公園・遊園地 6.0%
  • 民間施設 5.9%
  • 車内 0.4%
  • 海・山・川等自然環境 0.4%
  • その他 2.6%
  • 不明 1.0%

危害内容は、擦り傷・打身・打撲が56.3%です。

美容医療の治療内容では子供の頃にできた傷跡を治したい需要があり、傷を残さないための工夫を知っておくことでQOLの向上にもつながります。また、応急処置が早いことで傷跡を最小限にすることができます。

1. 湿潤療法とは

最近では、傷を湿った状態で治す「湿潤療法」がスタンダードになっています。
ケガをすると出血し、浸出液という体液がしみ出します。湿潤液には、約40種類を超える細胞成長因子が含まれており、それぞれが関わり合い傷の修復を行います。
湿潤療法は、傷口が乾かないうちにハイドロコロイド素材の傷パットで覆い浸出液を保ち、傷を治す方法です。
ハイドロコロイド素材のパットがない場合、食品包装用ラップも有効です。
乾いてカサブタになっていると傷の治癒の邪魔になるため、湿潤療法の方が早くきれいに治せると言われています。

2. 湿潤療法での応急処置の方法

まず出血を止めます。そして水もしくは生理食塩水で傷を洗い砂や泥をできる限り、取り除きます。さらに傷口が乾かないうちにハイドロコロイド素材の傷パットで覆います。
ラップを使う場合は、水分を含まない素材の為、漏れ出てくる浸出液を吸収するためガーゼがタオル等で覆う必要があります。
どちらの場合も1日に1回~数回剥がし、傷周囲の皮膚をしっかり洗い貼り替えます。傷の部分がツルツルとした皮膚で覆われ、滲出液が出なくなったら、ハイドロコロイド素材の傷パットやラップは不要です。
また、唇や目の周りなど傷で貼れない場合には白色ワセリンを頻回塗布することで傷の乾きを防ぐことができます。

3. 受診の必要がある場合

湿潤療法は、カッターナイフで切ったような傷口がキレイなものは治りが良く適しています。
以下の場合は、家庭での湿潤療法は適しておらず、病院での受診が必要になります。

  • 傷口がギザギザしたもの
  • 深い傷、大きな傷
  • 動物による傷
  • 砂や泥、トゲなど異物が残っている傷
  • 赤く腫れて痛みがある傷
  • 指や手足が痺れる、又は動かないような状態である場合

4. 傷跡をよりきれいに治す方法

  • 日焼け止め剤を塗る。
  • 紫外線を通さないものを貼る。
  • マイクロポアなどの通気性の良いテープを貼る。

傷跡にできた新しい皮膚は色素沈着を起こしやすいため、紫外線を避けることが大切です。
また、傷跡は安定するまでに半年から一年かかると言われています。傷が最も傷をくっつけようと作用する時期にテープを貼っておくことで、瘢痕になることを予防する効果があります。

参考文献

  • 川崎医科大学形成外科学教室 教授 森口 隆彦
  • 一般社団法人 日本創傷外科学会
  • 奈良県医師会
  • 『傷はぜったい消毒するな 生態系としての皮膚の科学』 (著)夏井 睦