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常在菌について

常在菌について

妊婦と子供のスキンケア

乳児期
幼児期
学童期

人の皮膚表面には、菌属として200種以上、菌種として1000種以上、そして数として数十万~数百万/cm2の常在菌が生息しています。
胎内の赤ちゃんは無菌状態ですが、産道を通って生まれてくる時にお母さんの大腸菌や常在菌をもらい、生きていくために必要な菌をもらい受けます。

常在菌の種類と働き

常在菌のバランスにより、皮膚のバリア機能が十分に発揮し、健康的な皮膚が保たれています。皮膚の常在菌の代表的なものは3種類あります。

①表皮ブドウ球菌

皮膚表面や毛穴に存在し、グリセリンや脂肪酸を生産します。 脂肪酸は肌を弱酸性に保ち抗菌ペプチドを作り出すことで黄色ブドウ球菌の繁殖を抑える働きがあります。

②アクネ桿菌

毛穴や皮脂腺に存在し、皮脂を餌にプロピオン酸や脂肪酸を作り出すことで皮膚表面を弱酸性に保ち、皮膚に付着する細菌の増殖を抑える役割があります。ニキビの原因とされていますが、増殖しなければ、ニキビの原因菌になりません。

③黄色ブドウ球菌

皮膚表面や毛穴に存在し、皮膚がアルカリ性に傾くと増殖して皮膚炎などを引き起こします。

「抗菌・除菌」はよく考えてから

石鹸で皮膚を1回洗うと、皮膚常在菌の90%が洗い流されてしまいます。そしてこの菌のバランスが元に戻るには12時間が必要です。
しかし薬用の除菌石鹸は、殺菌作用が強く、12時間ではとても元の状態に戻りません。
本来必要な菌が減ることで、 他の菌が増殖し、肌荒れや皮膚疾患の原因になるなど、バリア機能が低下することが分かっています。
アルコール入りスプレーや虫除けスプレー、おしり拭きやウエットティッシュなどの肌に触れる物も、子供にとっては刺激が強く、本来必要な常在菌を減らしてしまいます。時と場合に応じて使うことが大切です。

常在菌にともに生きること

皮膚には、常在菌、腸には腸内細菌、口の中にも、おしりの周りにもたくさんの菌がいます。この菌は私たちの免疫力を高め、体を守っています。
子供は、乳幼児が何でも口に入れることや、幼児期の泥遊び、学童期の虫取りなど、自然の中でさまざまな菌に触れることで、菌の数を増やし、免疫力をアップさせています。
汚れをきれいにすることや清潔な環境も大切ですが、必要以上の除菌・抗菌はお肌の常在菌のバランスを乱してしまうことがあるということを考えながら生活したいものです。

参考文献

  • 『皮膚の常在細菌について』 吉田 理香
  • 『子どもをアレルギーから守る本』 藤田 紘一郎
  • 太田敏子:目に見えないヒト常在菌叢のネットワークをのぞく,宇宙航空環境医学 Vol.49, No.3, 37-51, 2012