先日受診した友人が、珍しく疲れ切った顔をしていた。
それはマスク越しでもすぐに分かるほど。
「どうした?」
尋ねてみると、仕事のいろいろで疲労困憊ということらしい。
そんな状態でも、美容医療を受けに来ることで、自分を整えているとのこと。
だからこそ毎月通えるらしい。
毎月通うことがルーティーンになっている患者さんには、
親の介護で目が離せない人、
癌の治療を受けている人、
仕事が激務で始発や終電生活をしているような人、
病気の家族を世話している人、
離婚調停中の人、
などなど、大変な状況下に置かれている人たちがいる。
それなのに時間を作って白金まで足を運んでいる。
でもそれは頑張っているのではなく、楽しみであり、生き甲斐になっているからこそ、彼女らにとってはごくごく当たり前の生活習慣らしい。
私たちスタッフは気合が入るし、少しでもいい時間を過ごしてもらえるよう、心を寄せる。
肌の調子が良くなることは、希望であり夢である。
毎日頑張れるようになるためのエネルギーチャージとも言える。
気分が良くなるための方法の1つなのだろう。
自分の肌状態が精神状態に影響することを自覚しているからすごいと思う。
きれいにしておいて損はないだろう。
どの程度医療の介入が、その人にとって快適なのかは千差万別である。
それには一人ひとりの性格を知り、求めているレベルを把握しないと、快適ゾーンに導くことはできない。
それを察知して治療を提案するよう心がけている。
私が診て、「ここの治療をしたら絶対感じの良い人になるのに」と思う部分は、相手がどう思おうと伝えるようにしている。受けるか受けないかを決めるのは患者さんご自身だから、無理強いはしない。ただ伝えるだけ。
鏡を見る時は、無表情で見ることがほとんどなので、周りからどのように見られているか意外と知らない。
造作の美醜より、表情の美醜が見た目に影響していることを、みんな意外と知らない。
造作は遺伝的な影響を受けるので、まあ仕方ない。個性だ。
しかし、表情は自己責任である。
どのように生きているか、何を考えているかが顔に出るからだ。
美容医療は、肌を整え、表情を整え、心を整える医療だと思っている。
無理のない範囲で、楽しみながら通えることが美容医療との適切な付き合い方だと思う。