だいぶ前のことですが、先輩医師からの年賀状に、「世の中はエントロピー増大の法則により・・・」というコメントがありました。それ以来、「エントロピー増大」をずっと意識していたところ、興味深い本のタイトルが私の眼に飛び込みました。
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書籍の前半は、はるか昔に学んだ指数関数や運動エネルギーなどを、日常的に意識することのない出来事を論理的に説明しています。
そして熱力学第2法則、「世の中は常にエントロピーが増大する方向に進む」ということがメインテーマ。
おお、これぞ自然科学の真骨頂!
簡単に説明しますと、温かいコーヒーを室温に置いておくと必ず冷めるとか、部屋はどんどん散らかっていくとか、ゴミは増える一方とか、喫緊課題である地球温暖化とか。
エントロピー増大の法則は、原子や分子の世界から宇宙に至るまで、神羅万象の中で成立する法則だそうです。
インターネットの普及により、我々は情報の津波に飲み込まれていくのも、自然の摂理だということです。
私のクリニック経営で考えてみますと、スタッフの意識(価値観)がバラバラだとエントロピーは増大してしまい破滅の方向に向かってしまうということになります。これは、組織の問題ですね。意識を同じ方向に統一することで、物事はスムーズに運ぶだろうと考えられます。
即ち、エントロピーを低下させるということです。
しかし、低下させるためにはエネルギーが必要です。
放っておけばエントロピーは増大するのですから、皆好き勝手なことをして、統制が取れなくなることは明らかです。
エントロピーを低下させるには、我々の良識やルールは必須。
太古の昔から、我々の祖先も社会や暮らしを守るために、宗教や哲学というものを生み出してエントロピーを低下させていたのですね。旧約聖書の「ノアの方舟」や、お釈迦様の悟りなどがまさにエントロピーを低下させることの良い例でしょう。
自然科学と精神哲学を融合させた、素晴らしい本でした。何度も何度も読み返しています。
美容医療もエントロピー増大中
大切なお顔や身体が破滅に向かわないよう、エントロピー低下を意識した健全な美容医療の普及に努めたいと思います。