本日は本題の「自足」について書こうと思います。
年始にフィーバーした養老熱で思ったこと。
養老先生は、坂口恭平さん(作家・建築家)について度々触れていますが、坂口さんは躁鬱のようで、そのような自分と折り合いをつけるために苦労してきたことを結論づけると、
1)居心地の悪いところから立ち去る。
2)資質に合わないことはやらない。
ということらしいのです。
居心地の良い状態というのは、頭で理解するものではなく、身体の調子が“良い”ということに他なりません。
カラダが心地よいと感じることをしていれば元気でいられるのに、
快適ゾーンから外れているのに、いろいろ考えすぎちゃって無理してしまうと、その誤差の蓄積が“ストレス”となってしまうのでしょうね。
よくありがちな例を挙げると、
・性格や価値観の不一致を押し殺し、家柄や収入など条件を優先してしまった結婚
・生理的に合わない家族でも“家族”という理由で無理に合わせて付き合うこと
・好きでもない仕事を、収入のために続けていること
・家族のためという理由で通勤地獄に耐えること
・ママ友さんとの無理なお付き合い
・化粧は身だしなみという強迫観念から、毎日ファンデーションを塗っていること!(本当は塗りたくないのに)
合わないことはやめて、みんなが「自足」してくれれば社会はもっと落ち着くんじゃないかと。
何で必死に余計なことをしているんだろうと、坂口さんは言うそうです。
人間形成途中の子供が、好き嫌いだけを行動規範にしていいかどうかは疑問ですが、
いい歳した大人は、自分の価値基準をもとに行動し、「自足」することに大賛成です。
養老先生は、
「自分にとって適切なヒトとしての生物学的状態を現代人の多くが把握できなくなっている」と仰っています。
快適か不快かの判断ができないと!
というか、身体感覚に基づいて行動できないってことなんでしょうね。
頭(理屈)で考えてしまうから。
なるほど~
スキンケアについても「自足」していない人が多くて、何かおかしいな??と感じていたのですが、そういうことなんだと思いました。
自分の肌にとっての「快適」が、良く分からなくなっている人たちがいて、「正しいスキンケアを教えて欲しい」と当院を受診されます。
スキンケア情報が多すぎて、情報洪水の中で溺れている人が多いこと
万人受けする正しいスキンケアなんてものはないのだから、
自分にとって快適か不快かで判断すればいいだけのことなんです、本当は。
だから私は、「その人にとって正しいスキンケア」をお伝えするようにしていますが、目指すところはその人が自分で判断できるようになること。
「これでいいんだ~」と自分で判断できるようになって欲しいのです。自足して欲しい。
こういう身体感覚を身に付けるには、やはり子供の頃からカラダを動かし、いろんな経験をすることに尽きると思います。
都会暮らしで、ゲームや塾ばかりの生活をしていては、身につかないんじゃないかなと思います。
子供同士の方がいろんな人たちとフラットに付き合えるから、自分と異なる環境の人たちと接し、多様性を肌で感じることは、身体感覚を磨く上でも大切なのではないかと思います。
自分の快適を求めるなら、他人の快適も認めてあげる寛容さも必要です。
他人の「自足」を一緒に喜んであげられるようなゆとりが持てたら、幸せな社会になれそうです。