3「化粧品で肌がキレイになる」は嘘!
素肌の健康美を保つには肌断食がおすすめ

山口院長

白金ビューティフルエイジングクリニック院長 山口麻子

お化粧でお肌はキレイにならない

初めに申し上げますが、私はお化粧品を何が何でも使わないほうがいいと言いたい訳ではありません。
お化粧品は嗜好品であり、その正体は水と油、化学物質の混ぜ物。それ以上でもそれ以下でもなく、使うことのリスクさえ理解していれば、お化粧品を適度に使って楽しむのは個人の自由だと思っています。

美容皮膚科医として私がお伝えしたいのは、お肌の調子が悪くて荒れてしまったとき、乾燥したとき、もしくはお肌の老化を予防したいとき、「お化粧品の力でどうにかしよう!」と真っ先に考えるのは間違っているということ。

お化粧品にはお肌をキレイにしたり、老化を予防したりする働きはほぼゼロ。理由は以下の3つ。

①お化粧品はお肌の深部に浸透しません

第一に、お肌の表面は厚さ0.02㎜の角質層がバリアのように覆っているので、お化粧品はお肌の深部に入っていきません。
どんなに魔法のような美肌成分が含まれていても、お化粧品はその0.02㎜を濡らすのが関の山。

たとえ、毛穴からお肌の深部へと浸透しても量が少なすぎて、期待できる変化はないでしょう。もしも角質層を破壊して深部に浸透する化粧品があるとしたら、それはそれで問題です。

②そもそもお化粧品は異物です

第二に、どんなにお肌にいいイメージでも、超高級ブランドでも、すべてのお化粧品は肌にとっては異物。含まれている化学物質(例えば界面活性剤やエタノールなど)は、確実に肌を刺激します。
特に乾燥やニキビなど肌トラブルを抱える人は、化学物質で肌に炎症が起こります。

また、お化粧品に含まれている防腐剤によって、角質層に棲んでいる皮膚常在菌(ひふじょうざいきん)のバランスを崩す可能性があります。皮膚常在菌の中には、肌に潤いをもたらしたり肌荒れの原因菌を退治したり、いわばお肌の健康やキレイの維持に役立つ菌(表皮ブドウ球菌など)があります。

表皮ブドウ球菌は、最近ではNHKのテレビ番組などで「美肌菌」などと呼ばれ、注目を浴びましたが、お化粧品の化学物質でこれらのお肌にとって有用な菌が減りやすくなります。

③物理的刺激が大きい

第三に、お化粧品は使う際は物理的刺激が大きく、シミや黒ずみ、炎症を増やす原因になりかねません。シミの原因になるメラニン色素は、紫外線だけでなく、肌を擦るといった物理的刺激でも作られます。
例えば、アイメイクをよくする人は、クレンジングで目のまわりを擦るせいか、目のまわりが黒ずんでいる場合がありますよね。これは物理的刺激によるものです。

どんなにいいイメージや使い心地のいいお化粧品であっても、お肌をキレイにする効果はほぼないと思います。逆にお肌を傷めたり、老化を早めたりする可能性があることをご理解ください。

お肌に備わる働きが復活

私自身は、素肌の健康美を保つために、お化粧品をやめたり減らしたりする「肌断食」を推奨しています。

お化粧品をやめることで、皮膚常在菌も復活し、お肌に本来備わる保湿力を保つ働きも期待できます。
こうしたお肌にもともと備わる働きは、どんなに高級な化粧品をつけても復活させられません。

つまりは、肌断食こそが素肌から健康にして根本から美しく保つための最良の方法なのです。